日本の農業を支えてきた「技能実習制度」の抜本的な見直しが行われ、新たに「育成就労制度」へと移行することが決定しています。
しかし、「今の実習生はどうなるのか?」「新しく外国人材を雇うにはどうすればいいのか?」と不安を抱える農業経営者の方や、今後の支援体制に悩む監理団体・農業支援者の方も多いでしょう。
本記事では、技能実習の廃止と新制度「育成就労」の課題、そして具体的な農業人材確保の解決策を分かりやすく解説します。
これまでの技能実習制度が、なぜ変わるのか?そして何が大きく変わるのか、基本を整理していきましょう。
技能実習制度は「開発途上国への技能移転(国際貢献)」が目的とされ設立しました。
しかし実態は、人手不足を補う「労働力の確保」になっていたため、制度と実態のズレが起きていたのが現状です。そこで、「労働力の確保」を目的とした「育成就労制度」が創設されることになりました。
農業現場のリアルな視点から、メリットと新たなリスク(負担)を整理します。
ここれまでの技能実習制度は「技術を学ばせること」が目的だったため、「人手不足を理由とした残業は認められない」と禁止されてきました。
しかし、育成就労制度では制度の目的が明確に「労働力確保」へと変わります。
これにより、農業特有の天候や季節変動による「農繁期の時間外労働(残業)」が認められるようになります。
※ただし、外国人材保護の観点から適切な労働時間管理(月45時間以内など)は、引き続き求められます。
技能実習制度では、入国前や入国直後の講習が中心でした。しかし、育成就労制度は「特定技能へ引き上げるための育成」が義務付けられます。
そのため、農家様は日々の農作業の指導に加えて「日本語を学ぶ機会や環境を継続的に提供する」という新たな負担を背負うことなります。
技能実習では原則不可だったため、良くも悪くも人材は固定化されていました。
しかし新制度では、同一業務分野内(農業から農業など)において、一定条件を満たせば、本人の意向による転籍が可能になります。つまり、給与や生活環境などの待遇整備を怠ると、せっかく育てた人材が他の農家様へ流出してしまうリスクが生まれます。
実は、農家様や農業法人様にとって、最も注視すべきなのがこの点です。
新制度では、監理団体(新:監理支援機関)に対する許可要件や「職員の配置基準」が非常に厳格化されます。
農業以外の業種(製造業や建設業など)も扱う監理団体の場合、支援の手間やコストを天秤にかけ、「農業分野への人材供給や支援を後回しにする(あるいは打ち切る)」という事態が懸念されています。
そのため、農家様は「農業に特化した、信頼できる監理団体」に依頼する必要が出てきます。
育成就労制度の創設を盛り込んだ「改正入管法・技能実習法」は、2024年(令和6年)6月に国会で成立し、2027年までの施行が予定されています。
出入国在留管理庁 運用要領ページ:https://www.moj.go.jp/isa/applications/nyuukokukanri07_00002.html
制度が大きく変わろうとしている現在、実際の農業現場ではどのような変化が起きているのでしょうか。
日本全国約500件の生産者様へ、累計約8,500人の特定技能外国人を派遣してきたYUIMEのデータと、農家様から直接寄せられている声をご紹介します。
新制度では「特定技能へ引き上げるための育成」が求められるため、農家様から、以下のような不安の声が急増しています。
「農繁期の作業指導だけでも精一杯なのに、日本語教育まで面倒を見るのは現実的に厳しい」
「転籍されるリスクがあるなら、未経験者を一から育てるメリットが薄い」
YUIMEが取得したデータによると、派遣サービスを利用される農家様は2021年の約100件から2026年には約500件と急拡大しています。この動きは、技能実習制度の廃止が決定した2024年以降も加速しており、過去に技能実習生を受け入れていた農家様からのお問い合わせも増加しています。
これは「育成就労制度に切り替えるのではなく、特定技能派遣を利用したい」というニーズの現れと言えます。
特定技能制度とは、深刻な人手不足に対応するため、すでに一定の専門性・技能と、基本的な日本語能力を身につけている「即戦力の外国人材」を受け入れるための在留資格です。
農業分野における特定技能の最大の特徴は、他業種では原則として認められない「派遣形態での受け入れ」が特例として適法されている点にあります。これにより「農繁期の数ヶ月だけ」といった柔軟な労働力の確保が可能になります。
制度が対象とする具体的な業務範囲や、受け入れ企業側に求められる要件、技能実習からの移行条件などのさらに詳しい制度設計については、以下の専門メディアで詳細に解説されています。
【参考】YUIME Japan 特定技能制度の要件・詳細:https://yuime.jp/search?q=特定技能制度
制度の移行により、求められる役割も変化します。
農家様は今後の経営を左右する大きな決断と対応を迫られています。
これまでは「とりあえず技能実習」という選択ができましたが、今後は特定技能制度か育成就労制度のどちらを利用するか決める必要があります。
新たな負担(日本語教育の提供など)を背負ってでも「育成就労」で未経験者を受け入れ、将来「長く活躍するリーダー(中心人物)」として育てていくか。
あるいは、教育や管理の手間を削減し、「特定技能」の外国人を派遣などで即戦力として活用する方針に切り替えるか。
自社の状況に合わせた「制度の選択」が必須になります。
支援者側には「これまでの技能実習にはなかった新たな要件への対応」という重い課題がのしかかっています。
外部監査人(第三者のチェック役)の設置義務化や、職員の人数などのルール(配置基準)の厳格化、特定技能レベルまで引き上げるための支援体制構築など、新制度の厳しい許可要件をいかにクリアするかが自団体の存続を分ける急務となります。
技能実習制度とのルールの違い(残業の扱い、日本語教育の負担、転籍リスクなど)を組合員や支援農家様へ正確に説明する必要があります。
さらに「制度移行後も引き続き外国人材を受け入れるか」「特定技能に切り替えるか」といった、今後の人材確保の意向をヒアリングして回るという、膨大なコミュニケーションコストが発生します。
要件が厳格化する中、他業種も扱う監理団体からは「手間の掛かる農業分野の支援はもう諦めざるをえない」という声も聞かれます。
しかし、長年付き合いのある組合員(農家様)を見捨てるわけにはいかない中で、ご担当者様も日々悩まれている中かと思います。
そこで、「複雑な支援業務のみを、専門機関へアウトソーシングする」という選択肢もあります。
新制度への移行に伴い、教育や管理の手間が増える中で、農家様はどう対応すべきなのでしょうか。
現在の状況に合わせて、最適なアプローチを選ぶことが重要になります。
「教育に人手や時間を割けない」「必要なときだけ人手がほしい」という場合は、すでに育成された「特定技能」の外国人を「派遣」で受け入れる方法が最も確実です。特定技能制度の農業分野では、派遣が認めらているため、認定派遣事業者(派遣会社)から人材を受け入れることができます。日本語教育や転籍リスク、複雑な労務管理の負担はすべて派遣会社が担うため、農家様は「農業」に専念することができます。


「新制度からコア人材を育てたい」「今の監理団体のサポート体制に不安がある」という農家様や、「農業分野の支援業務を信頼できる専門機関に任せたい」という支援者様には、農業特化したプロのサポートが不可欠です。
農業特化の支援機関であれば、制度の移行手続きから日々の生活支援、定着率向上のためのノウハウまでを一任できます。
技能実習から育成就労への移行は、農業の人材確保における大きな転換点です。
労働時間の柔軟性が増す一方で、育成負担や転籍リスク、そして支援機関の選定といった新たな課題も浮き彫りになっています。自社だけで抱え込まず、農業に特化した派遣サービスや支援機関を賢く活用し、安定した農業経営を実現していきましょう。
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